教師にとっての生涯学習とは何か

あなたはなぜ教師になりたいのでしょうか。困難ながら報いもある教師という仕事は、生徒が知識や技能や美徳を獲得する手助けをします。教職とは、真の変化を生み出し、人生を変える可能性を秘めたキャリアなのです。有能な教師は長期的な影響を生徒に与えます。

変化の目まぐるしい今日の世界では、職業という職業も非常に困難になっています。「学習とは変化に遅れずについていくための生涯にわたるプロセスであるという事実を私たちはいま受け入れています。そして喫緊の課題は、人々に学び方を教えることです」 マネジメントの教師・思想家として有名なPeter F. Drucker は こう言います。教えるとは、授業で知識を伝える作業以上のものです。学び方を教え、生徒が両手を広げて変化を受け入れるのを助けることです。教育者は、生徒が生涯学習スキル (LLS)を身に付けられるようにするという責任を負います。

「学習とは変化に遅れずについていくための生涯にわたるプロセスであるという事実を私たちはいま受け入れています。そして喫緊の課題は、人々に学び方を教えることです」– Peter F. Drucker

John Coolahan 教授 (2002) は生涯学習し続ける教師が持つべき重要な属性を指摘しています。

• 己を知る: 自分自身を深く理解している。
• 専門技能: 専門分野での能力に加え、授業、計画、評価、および相互交流において幅広いスキルを備えている。
• 柔軟性: 柔軟性があり、自己変革への抵抗感が少ない。
• チームワークのスキル: 他人と協力し、良いチームプレーヤーとしての役割を果たすことができる。
• 共感と思いやり: 思いやりがあり、疎外されていたり学習に困難を抱えていたりする生徒を引き付けることができる。

実現にむけた取り組み

教師は教育において極めて重要な役割を果たします。持続可能な開発目標 4 (SDG 4) 目標 4. c ( 「教師目標」)は教師の専門能力開発支援を提唱し、質の高い教育は資格のある教師によってのみ提供できることを認識し、特に後発開発途上国や小さな島嶼開発途上国における、資格のある教師によって教えられる生徒の権利を強調しています。

SDG 4 目標 4.c: 2030 年までに、開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国での教員研修のための国際協力などを通じて、資格を有する教師の供給を大幅に増やす。

東南アジアの他のメンバー組織は、SDG 4 とそのすべてのターゲットをユネスコと共に達成することに取り組んでいます。地域の政府間組織である東南アジア教育大臣機構 (SEAMEO) は2015 年から 2035 年までのアジェンダの 1 つとして、教師の教育の活性化を優先し、一連の専門能力開発プログラムで教師の質を高めることを目指しています。タイ教師評議会 (TCT) は、SEAMEO の優先課題への取り組みと同時に、東南アジア教師能力フレームワーク (SEA-TCF) の開発を開始しました。

出典: the Southeast Asia Teacher Competency Framework (SEA-TCF)

教師が知らなければならないこと

自分の担当教科を知る

優秀な教師は、どうすれば生徒が教科に積極的に取り組むかを知っています。Shulman (1987) は、教師が教科の内容に関する知識を開発する必要性を強調しました。Shulman は、教授学的内容知識 (PCK; Pedagogical Content Knowledge) が注目に値することを強調しました。

PCK は、教師と教科内容の専門家を区別する区分です。教師は、自分が何を教えているか、自分の知識がどのように活かされ、分かりやすい方法で提示されているかについてよく把握している必要があります。

出典: Categories of the Teacher knowledge Base according to Shulman (1987)

自分を知り、より良く教える

省察する時間をとって独自の教育スタイルを開発し、良識を実践しましょう。Reid (1993) は、省察 (Reflection) という言葉を、「実践を記述、分析、評価するため、およびに実践についての学習の情報を得るために、実践を振り返るプロセス」と定義しました。これは生涯学習と考えることができます。思慮深い教師になり、生涯学習の考え方を身に付けるためのアイデアをいくつか示します。

• 生徒に評価フォームの記入を求める。
• 信頼できる同僚にフィードバックを依頼する。
• 生徒と一緒に自分たちの授業を録画したものを視聴し、反応を観察する。
• 自己省察のための時間を設ける。狙いを絞った質問またはエクササイズ用ツールが役に立つでしょう。
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このような心構えを養成し教育のなかで実践すると、生涯学習の考え方が活かされ指導の成果が現れます。

生徒のことを知り、フィードバックを与える

生徒の要望、長所と短所を理解し、意味のあるフィードバックを提供することが大切です。生徒のことを知る術はたくさんあります。

授業前

• 毎日の挨拶や朝のミーティングで生徒とのコミュニケーションに弾みをつける。
• 緊張をほぐすアクティビティを実践する。こちらに アイデア一覧をまとめています。
• 家族からアンケートを取る。たとえば教師の Cathleen は、生徒の家族に向けて、生徒本人のことを説明してもらう宿題を出しました。

授業中

• ゲーミフィケーションを採り入れた簡単なフィードバックを与える。これにより、生徒のオンラインコースへの関心が高まり、知識の定着率が向上します。
• SPARK モデルを使った建設的なフィードバックを与える。

授業後

• タスクとテスト: 生徒が自分の理解度を示す機会を提供する。
• データを根拠にした評価: 生徒の強みと欠点を特定するために評価データを使用する。

良い教師は生涯学習者です。職業的知識から特別な専門知識まで、スキルのレパートリーを持っています。よって、教師は、社会の生涯学習リーダーとしての役割を果たす意欲を持ち続け、不確実性や現代の課題に対処するスキルを生徒に身に付けさせる必要があります。

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